低分子化ヘミセルロースの生体防御作用

低分子化ヘミセルロース誘導体の免疫増強メカニズム

 
ヘミセルロース誘導体は経口摂取によって免疫力へ影響を与えることのできる成分として研究開発されたものです。キノコや酵母等のベータグルカンやアルファマンナン等の比較的高分子の成分とは性質を異にしています。前者が吸収されにくいことに対して、ヘミセルロース誘導体は分子量から考えて吸収されやすいと予測されることです。
 
加水分解されたヘミセルロースは高分子の場合と異なり、水溶化を示します。マクロファージに対する反応性は不溶性成分と水溶性成分では全く、その性質が異なります。
 
ベータグルカンは不溶性です。ベータグルカンがマクロファージを活性化することは周知の事実ですが、これは貪食による物理的な反応に近いものと考えられます。
 
一方で加水分解されたヘミセルロースは水溶性ですから免疫細胞との間で生化学的反応を起こす可能性を有しています。つまり細胞表面に存在するレセプターとの親和性を有する構造を通して、免疫細胞を活性化すると考えています。以上のことから、摂取することによって免疫細胞に影響を及ぼす機能性成分は腸管吸収可能な分子量であること、免疫細胞レセプターと親和性を有する構造を持つことの条件を備えていまければなりません。
 
腸管のパイエル板から吸収されたヘミセルロース誘導体は腸壁の内側に存在するマクロファージ、NK細胞等のレセプターに結合し活性化すると考えられます。活性化されたそれらの細胞が連鎖反応的に他のリンパ球を活性化し、全身免疫の活性化に波及するものと考えています。このようヘミセルロース誘導体の摂取による免疫増強のメカニズムは薬剤の注射による作用とは根本的に異なるものと考えられます。食品成分の免疫に関する作用は一種の腸管免疫の作用であり、それも腸管の内側に存在するリンパ球への影響を与える引き金となるものと考えます。

 
 

ヘミセルロース誘導体関連物質の有効性を示唆する研究

 
臨床的有効性に関する論文・研究
 
・HBe抗原陽性慢性肝炎に対するLEMによる治療:原田尚、兼高遠貳、肝胆膵 14(2):327-335,1987
・担癌患者に対する植物由来多糖類抽出物(AHCC)の効果-免疫パラメーターperformance statusへの影響-:宇野克明ら、Biotherapy 14(3)303-309,2000
・Improved prognosis of postoperative hepaotocellular carcinoma patients treated with functional foods : a prospective cohort study : Y.Matsui et al, Journal of Hepatology, 37. 78-86 (2002)
・The Oral Administration of the modified Arabinoxylan From Rice Bran (HRB) Prevents a Common Cold Syndrome in Elderly People Based on Immunomodulatory Function: K. Tazawa, K. Ichihashi, K. Omura, M. Anazawa, H. Maeda, Journal of Traditional Medicines, Vol. 20(30)132-141, 2003
・NK Immunorestoration of cancer Patients by BioBran/MGN-3,A Modified ArabinoxylanRiceBran(study of 32 Patients Followed for up to 4 Years):Mandooh Ghoneum and Jimmy Brown, Anti-Aging Medical therapeutics,Vol.3,217-226,1999
・The Safety and QOL improvement Effects of the Oral Administration of the Fermented Oryza Sativa subsp japonica in Elderly People: S Hirose, K. Omura, N. Shiraishi, H. Maeda, Geriatric Medicine 45(11);1469~1475,2007
 
 
基礎的有効性に関する論文・研究
 
・Effect of Extract of Cultured Lentinus edodes mycelia (LEM)on Polyclonal Antibody Response induced by Porkweed Mitogen : Y.Mizoguchi,S.Morisawa, Gastroenterologia Japonica,22,No.5 1987
・Anticarcinogenic Actions of Water-Soluble and Alcohol insoluble fractions from culture Medium of Lentinus edodes Mycelia : N.Sugano, Y.Hibino, Y.Choji and H.Maeda, Cancer Letter17(1982)109-114
・L. Edodes mycelia(シイタケ菌菌糸)水溶性抽出物のマクロファージに対する作用と細菌感染防御効果:松村治雄、寺田泰比古、前田浩明、中野昌康、日本網内系学会会誌、第2巻、第2号、201207,昭和62年
・担子菌培養抽出物であるAHCCのマウス四塩化炭素肝障害モデルに対する肝保護作用:孫歩祥、若命浩二、向田朋美、豊島厚司、金沢勉 小砂憲一、Natural Medicines,51(4),310-315(1997)
・Protective Effects of Active Hexsose Correlated compound (AHCC) on the Onset of Diabetes Induced by Streptozotocin in the Rat : Koji Wakame, Biomedical Research 20(3)145-152,1999
・実験的顆粒球減少マウスモデルにおける担子菌標品AHCCのCandida Albicans感染予防効果:池田達夫ら、日本医真菌学雑誌、441271312003
・Enhancement of Human Natural killer Cell Activity by Modified Arabinoxylan from RiceBran(MGN-3) : M.Ghoneum, Int. J. Immunotherapy, Vol. ⅩⅣ (2),89-99,1998
・The Effect of Modified Arabinoxylan from RiceBran (MGN-3) on Cisplatin and Doxorubicin Induced Toxity in the Rat : H.Jacoby, G.Wnorowski, K.Sakata, H.Maeda, Jounal of Nutraceutical Functional & Medical Foods, Vol.3(4)3-11,2001
・Modified Arabinoxylan from Rice Bran (BioBran/MGN-3) Improves Glucose Tolerance in NIDDM Adult Rats Given Streptozocinas Neonates, I. Ohara, K. Onai, H. Maeda, Studies, Aichi Gakusen University, No.37,pp.17-23, 2002.
・The peculiarity of fermented ancient rice and possibility to application as the Functional food : Hiroaki Maeda, Seiko Ito, Tomisato Miura, Yoji Kato, The Japanese Academy for Clinical Complementary and Alternative Medicine(2006)
 
 

植物共生菌由来の糖脂質(LPSまたはグリコリピド)の有効性を示唆する研究

 

臨床的有効性に関する論文・研究
 
・Clinical Effects of Orally Administered Lipopolysaccharide Derived from Pantoea agglomerans on Malignant Tumors : ANTICANCER RESEARCH 36: 3747-3752 (2016)
・Intradermal administration of lipopolysaccharide in treatment of human cancer :Cancer Immunology and Immunotherapy, 42: 255-261(1996)
・The analgesic effect of orally applied lipopolysaccharide (LPSp) through induction of the TNF and .BETA.-endorphin in post-operative patients : Biotherapy(Tokyo) ,8(3): 348-349 (1994)
・In 100 individuals who take M&M manufactured by Le Cher Inc., a questionnaire survey on the presence or absence of influenza during its season was performed, and the results were compared with statistics in the whole Japan (refer to the investigation by National Institute of Infectious Diseases).: in-house research by Le Cher Inc.
・LPS was orally administered to 5 patients with severe atopic dermatitis for 2 months, and symptoms were examined by a physician.: Mizonokuchi hospital, Teikyo Univ. report
 
 
基礎的有効性に関する論文・研究
 
・Pantoea agglomerans: a mysterious bacterium of evil and good. Part IV. Beneficial effects : Annals of Agricultural and Environmental Medicine 2016, Vol 23, No 2, 206–222
・A Lipopolysaccharide from Pantoea Agglomerans Is a Promising Adjuvant for Sublingual Vaccines to Induce Systemic and Mucosal Immune Responses in Mice via TLR4 Pathway : PLOS ONE | DOI:10.1371/journal.pone.0126849 May 15, 2015
・Differential Expression of mRNA in Human Monocytes following Interaction with Human Colon Cancer Cells : ANTICANCER RESEARCH 31: 2493-2498 (2011)
・Preventative and Therapeutic Potential of Lipopolysaccharide Derived from Edible Gram-Negative Bacteria to Various Diseases : Current Drug Therapy,2008,3,26-32
・Chylomicrons promote intestinal absorption of lipopolysaccharides : Journal of Lipid Reserch Volume 50, 2009
・Gut microbiota and lipopolysaccharide content of the diet influence development of regulatory T cells: studies in germ-free mice : BMC Immunology 2008, 9:65

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抗腫瘍免疫系全体を向上

 

Medical Academy News記事


低分子化ヘミセルロースはイネ科植物を材料に開発された機能性成分で、これまでの研究からNK細胞を賦活化する作用を持っていることが明らかになっている。NK細胞は癌細胞やウイルス感染細胞などを殺す働きを持つとともに、サイトカインを分泌して免疫反応を調節する機能を持っており、ことに腫瘍免疫においては重要な役割を担っている。ゴーナム氏からはそうしたNK細胞賦活化のどのような点に低分子化ヘミセルロースが働いているかについて検討した成績が報告された。
 
NK細胞がどのように標的を認識するのか、またどのような機構で細胞傷害を起こすのかは、この数年の研究でかなり明らかになってきた。そのなかの一つのトピックスは、NK細胞のあるものは標的細胞上のMHCクラスI分子を認識し、この認識ができなくなると標的細胞破壊を引き起こすことが分かってきたこと。従来は、NK細胞がMHCの異なるウイルス感染細胞や癌細胞をも傷害できることから、MHC非拘束性の細胞傷害性を持つとされていたが、実はMHC分子がNK細胞の標的認識に重要な働きをしていることが明らかになっている。
 
NK細胞傷害性は、傷害を促進する正のシグナルと抑制する負のシグナルとのバランスによって調節されていると考えられており、それぞれのシグナルは標的細胞上のリガンド分子を認識するNKレセプターが伝達している。このうち抑制シグナルを出すレセプター遺伝子については解明が進み、KIRと呼ばれるレセプターファミリーが同定されている。その抑制機構としては、KIRが標的細胞上の自己MHCクラスI抗原のHLA-A、B、C分子と結合すると、抑制シグナルが伝達され、NK細胞は標的を殺さない。それが自己の正常細胞を傷害しない仕組みとなっている。
 
しかし、もしKIRが相手の細胞を認識できないと、抑制シグナルが出ずに正のシグナルがそのまま伝達され、NK細胞は標的細胞を破壊するとされている。癌細胞がT細胞などの免疫機構から逃れる一つのシステムとして、MHCの発現低下が知られているが、NK細胞の場合にはMHCを認識できないと正のシグナルが動くことから、T細胞系で認識できない癌細胞をも破壊することができる。

 
一方、NK細胞の細胞傷害機構としては、NK細胞の細胞質中に存在する顆粒が、標的細胞と結合した際に生じる細胞間の隙間に放出され、それによって細胞破壊が起こることが知られている。この顆粒のなかには70kDaの糖蛋白であるパーフォリン分子があり、それが標的となった細胞膜に孔を開け、細胞内への外液の流入などが起こって、標的細胞が死ぬとされている。また、顆粒にはセリンプロテアーゼ分子群が含まれており、パーフォリンが開けた孔から細胞内に流入して、DNAを断片化しアポトーシスを起こすことも分かってきている。
 
ゴーナム氏がそうしたNK細胞作用に対する低分子化ヘミセルロースの効果を検討したところでは、標的細胞へのNK細胞の結合能が、低分子化ヘミセルロース投与によって明らかに向上することが認められている。さらに、癌細胞などによって起きたNK細胞内顆粒の減少に対しても、低分子化ヘミセルロースは再顆粒化を促し、傷害性をもったNK細胞にする働きをもっていることが突き止められている。つまり、低分子化ヘミセルロースはNK細胞が癌細胞などを認識する能力を高めると同時に、標的細胞を打ち倒すための武器も充実させたことになる。
 
また、低分子化ヘミセルロースはNK細胞の活性化ばかりでなく、T細胞やB細胞などの免疫系全体を賦活化することも、ゴーナム氏らは見出している。特に産生が高まるのはIFN(インターフェロン)やTNF(腫瘍壊死因子)で、NK細胞から産生されたIFN‐γが未分化のT細胞を細胞性免疫系のT細胞(Th1)へと分化させたり、TNFが抗腫瘍性に働くなどして、免疫系全体が賦活化されることが明らかになってきている。
 
いずれにしても、抗腫瘍作用をもつ免疫系で大きな役割を果たしているのはNK細胞で、これまでにもNK細胞の活性化を狙った免疫療法が取り入れられてきた。その代表的なものとしてよく知られているのがIL-2の投与で、NK細胞はIL-2の刺激で増殖活性化され、LAK活性を示すようになる。
 
ただ、高濃度のIL‐2投与の場合では副作用も強く、これまでの臨床検討では十分な成果は得られていない。そのため、低用量でもIL‐2が抗癌作用を発揮するような併用療法などの開発が待たれている。ゴーナム氏はそうした点に着目して、低分子化ヘミセルロースとの併用療法についても検討を行った。
 
実験はヒト末梢血Tリンパ球を用い、低分子化ヘミセルロース単独、IL―2単独、低分子化ヘミセルロースとIL‐2の併用の3群に分けて、NK細胞活性の変動について調べられた。その結果では、低分子化ヘミセルロース単独では138.6%、IL-2単独では179.5%とNK細胞の活性が得られたが、両者を併用するとコントロールに対して332.7%と高い相乗効果が得られることが判明している。なぜ、そうした相乗効果が得られるのかについてのメカニズムは、現在のところ十分には解明されていないが、ゴーナム氏は「低分子化ヘミセルロースのTNF‐α産生作用が大きく影響しているものと考えている」と報告した。
 
実際、ゴーナム氏らが健常被験者20人の末梢血リンパ球を使って検討したところでは、コントロールが195pg/ml±102に対して、IL―2処理群では216pg/ml±100と、TNF‐α量に何の変化もみられなかったのに対して、低分子化ヘミセルロース処理群では5773pg/ml±2653と、TNF‐αが多量に産生されることが認められている。また、両者を併用した結果では8127pg/ml±2578と、さらに産生が増加することが突き止められており、IL―2の投与量を低くしてもNK細胞が活性化されることが明らかになっている。今後、臨床応用などについて検討されることになっているが、低分子化ヘミセルロースの併用によって、低用量のIL-2でNK細胞の活性化が得られる点では、新たな展開が期待されそうだ。

QOLの改善で大きな効果

 

ゴーナム氏らは低分子化ヘミセルロースを用いた臨床検討も進めており、この4年間ほどで約100例の研究成績が積み重なってきている。対象とされたのは多発性骨髄腫や白血病といった血液系の癌や、乳癌、子宮頚癌、卵巣癌など数多くの癌種に及んでいる。臨床検討としては、手術や癌化学療法、放射線などによって、トータル・セル・キルを図った上で、それでも抗癌剤耐性の出現などから、どうしても残ってしまう少数の癌細胞を、宿主免疫能を賦活化することによって排除できないかという従来の非特異的な免疫療法と同様のデザインで行われた。その成績では、NK細胞の活性化を指標とすると、ほとんどの患者で良好な成果が得られている。
 
ゴーナム氏からは、その代表的な症例が紹介された。そのうち、前立腺癌患者での成績についてみると、ホルモン療法終了後に低分子化ヘミセルロース投与を開始した症例では、前立腺癌の腫瘍マーカーであるPSA(前立腺特異抗原)が長期間にわたって正常値を維持する結果が得られている。一般に、ホルモン療法が奏効するとPSA値は低下するが、時間が経過するに従って再び上昇する例が多いことが分かっており、ゴーナム氏は「低分子化ヘミセルロースの投与によって、再燃を防止することができた」と語った。他の前立腺癌患者でも同様の成績が得られており、特に低分子化ヘミセルロースを投与した例では、ホルモン療法に伴う男性機能の消失もなく、QOLの面で優れた役割を果たしていることが紹介された。
 
そうした抗癌活性や癌の再発予防効果につながっているのは、低分子化ヘミセルロースによるNK細胞の活性化で、低かったNK細胞の活性値が正常レベルまで回復するに従って、全身状態が改善され、延命につながる成績が得られている。そのほか乳癌や多発性骨髄腫、白血病などでも良好な成績が積み重なっており、「進行・末期癌患者に対する医療として、低分子化ヘミセルロースはQOLの面でも、また癌再燃の遅延ないし予防においても有用性が高い」とゴーナム氏は報告した。
 
その使い方が一つ問題になるところだが、ゴーナム氏は使い始めたら途中で中断することなく長期間使用することと、患者をストレスから守ることが大切だと指摘した。ストレスがかかるとNK細胞活性が低下することが動物実験でも明らかになっており、それが治療効果を左右する原因にもなっていることから、十分な配慮が必要だと語った。

 
特別研究会ではまた、傍島氏から肺癌患者に低分子化ヘミセルロースを投与した1症例が、門野氏から自己免疫疾患に対する4例の臨床検討成績が報告された。このうち肺癌に対する成績では、出現した骨転移が低分子化ヘミセルロースの投与によって軽快し、骨腫瘍マーカーの数値も低下していることが紹介された。一方、シェーグレン症候群などの自己免疫疾患への投与では、まだ投与開始してから日が浅いため有効性を判定できないものの、全身状態の改善傾向が高く、副作用などの有害作用は認められないことが示された。

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